猫と手毬
猫と彼の出会い
僕は小さい時に捨てられた。
人間の身勝手な理由で親とも離れて。
小さいからだに灰色の毛。
僕の目は黄色と緑のオッドアイなんだって。
本当は僕以外にも猫は5匹ほどいたんだ。
でもみんな連れてかれちゃった。
僕だけのこしてみんなはぐれちゃった。
誰も戻ってこないのは知ってるし僕はずっと1人だって事もわかってる。
だからかな。
寂しくって仕方ないんだ。
でもある日…曇っていて雨が振りそうなくらい黒い雲が空を覆ってた。
もう日も沈み始めてて暗くなる前だったから特に黒く感じた。
誰も来ないような路地裏で僕は丸まってたんだ。
そしたら突然赤い手毬(てまり)が転がって来た。
赤と白。そしてオレンジが入った手毬はコロコロと僕の方に転がってくる。
僕は気になって手毬を止めて前足で触ってみる。
触るとコロコロ転がるその手毬は雨が振りそうな天気の中輝く太陽みたいに明るかった。
僕が気に入って少し遊んでいると突然人影がおりてきて僕は少し距離をとった。
「この手毬。気に入ったの?」
大きな人は優しく僕にそう聞いてきたんだ。
僕は「ニャー」とだけ鳴いた。
人間には猫の言葉はわからないから。
「…気に入ってるんだね。君は野良猫かな?綺麗な灰色の毛だね。」
初めて僕の事を褒めてくれた人だった。
暖かい目をしていてちょっとバサバサしている髪はびっくりするくらい真っ黒だ。
シンプルな灰色のパーカーとジーンズを着ている人だった。
「誰も家族が居ないんだね。僕と一緒だ。」
君と…一緒?
「君は僕の家においで。家族が居ないと寂しいよね。」
そう言って僕の事を抱き上げる。
「よく見ると君の目は綺麗なオッドアイだね。黄色と黄緑かな?」
僕は抱き上げられたことにびっくりして少し手に爪を立ててしまう。
僕の灰色の毛には少し赤い血が滲んでいた。
それは僕の血ではなくて僕の事を抱き上げている人の手からにじみ出ていた。
でも彼は怒らなかった。
そんなことは気にしてないかのように僕に笑顔を向けてくれた。
僕は爪を手の中にしまって彼に出来た傷を治そうと少し舐める。
僕は彼にいつの間にか警戒心をといていたらしい。
「僕の事を信じてくれたかい?なら一緒に帰ろうか。」
そう言ってさっきの手毬を拾って僕を肩に乗っけてくれる。
僕は「ニャー」と鳴いたけどやっぱり猫語は通じない。
彼は歩きながら僕に手毬の事を話してくれた。
「この手毬は僕が作ったんだよ。綺麗だろう?暖かい色で作ってみたんだ。」
さっきの手毬を見せながらゆっくり話してくれる。
僕の目の前で手毬を見せてくれたからつい触りたくなってぺたぺたと手毬を触った。
「君は手毬好きなの?なら君が遊べる手毬を作って上げる。」
そう言って僕を赤い手毬で遊ばせてくれる。
「あ、そうだ。」
そう言ってポケットから小さな青と水色と白の手毬を取り出す。
「これなら君でも持てるかな?」
そう言って僕に差し出してくれる。
僕は彼の肩の上でコロコロところがして遊ぶ。
すると僕の体に冷たい水の粒があたる。
雨だ。
「…雨降ってきちゃった。猫は濡れるのきらいなんだよね。」
そう言って僕をパーカーの胸のあたりに入れてフードを被った。
「これで濡れないかな?」
そのやさしさは温かくていつもなら冷たくて嫌な雨も今だけは温かくて思えた。
人間の身勝手な理由で親とも離れて。
小さいからだに灰色の毛。
僕の目は黄色と緑のオッドアイなんだって。
本当は僕以外にも猫は5匹ほどいたんだ。
でもみんな連れてかれちゃった。
僕だけのこしてみんなはぐれちゃった。
誰も戻ってこないのは知ってるし僕はずっと1人だって事もわかってる。
だからかな。
寂しくって仕方ないんだ。
でもある日…曇っていて雨が振りそうなくらい黒い雲が空を覆ってた。
もう日も沈み始めてて暗くなる前だったから特に黒く感じた。
誰も来ないような路地裏で僕は丸まってたんだ。
そしたら突然赤い手毬(てまり)が転がって来た。
赤と白。そしてオレンジが入った手毬はコロコロと僕の方に転がってくる。
僕は気になって手毬を止めて前足で触ってみる。
触るとコロコロ転がるその手毬は雨が振りそうな天気の中輝く太陽みたいに明るかった。
僕が気に入って少し遊んでいると突然人影がおりてきて僕は少し距離をとった。
「この手毬。気に入ったの?」
大きな人は優しく僕にそう聞いてきたんだ。
僕は「ニャー」とだけ鳴いた。
人間には猫の言葉はわからないから。
「…気に入ってるんだね。君は野良猫かな?綺麗な灰色の毛だね。」
初めて僕の事を褒めてくれた人だった。
暖かい目をしていてちょっとバサバサしている髪はびっくりするくらい真っ黒だ。
シンプルな灰色のパーカーとジーンズを着ている人だった。
「誰も家族が居ないんだね。僕と一緒だ。」
君と…一緒?
「君は僕の家においで。家族が居ないと寂しいよね。」
そう言って僕の事を抱き上げる。
「よく見ると君の目は綺麗なオッドアイだね。黄色と黄緑かな?」
僕は抱き上げられたことにびっくりして少し手に爪を立ててしまう。
僕の灰色の毛には少し赤い血が滲んでいた。
それは僕の血ではなくて僕の事を抱き上げている人の手からにじみ出ていた。
でも彼は怒らなかった。
そんなことは気にしてないかのように僕に笑顔を向けてくれた。
僕は爪を手の中にしまって彼に出来た傷を治そうと少し舐める。
僕は彼にいつの間にか警戒心をといていたらしい。
「僕の事を信じてくれたかい?なら一緒に帰ろうか。」
そう言ってさっきの手毬を拾って僕を肩に乗っけてくれる。
僕は「ニャー」と鳴いたけどやっぱり猫語は通じない。
彼は歩きながら僕に手毬の事を話してくれた。
「この手毬は僕が作ったんだよ。綺麗だろう?暖かい色で作ってみたんだ。」
さっきの手毬を見せながらゆっくり話してくれる。
僕の目の前で手毬を見せてくれたからつい触りたくなってぺたぺたと手毬を触った。
「君は手毬好きなの?なら君が遊べる手毬を作って上げる。」
そう言って僕を赤い手毬で遊ばせてくれる。
「あ、そうだ。」
そう言ってポケットから小さな青と水色と白の手毬を取り出す。
「これなら君でも持てるかな?」
そう言って僕に差し出してくれる。
僕は彼の肩の上でコロコロところがして遊ぶ。
すると僕の体に冷たい水の粒があたる。
雨だ。
「…雨降ってきちゃった。猫は濡れるのきらいなんだよね。」
そう言って僕をパーカーの胸のあたりに入れてフードを被った。
「これで濡れないかな?」
そのやさしさは温かくていつもなら冷たくて嫌な雨も今だけは温かくて思えた。
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