ほんとの声を聞きたかった
「あ!!!もうこんな時間や!!」
音楽に没頭しすぎて、時計の針はもう22時をさしていた。
「ごめん!ヨル!!遅いし送ってくわ!」
そう言いながらバタバタと後片付けを始めるカズマ。
ヒロやリョウは大きな伸びをしたり、欠伸をしながらのんびりと片付けをしている。
「自由だ…」
「ヨル、帰ろう?」
「あ、うん!ヒロ、リョウ、またね!!」
「はよカップルは帰「また」」
ヒロの言葉を遮り、無表情で手をひらひらと左右に振るリョウ。
それに応じて、手を振り返す私たち。
スタジオを出ると、金曜日のせいか、サラリーマンたちが賑わっていた。
一週間の鬱憤を晴らすかのように、みんなで飲んだりしたのだろう。
カズマはというと、さっきまで練習していた曲を鼻歌で歌っていた。
いつもと決まって、道路側を歩きながら。