ほんとの声を聞きたかった
「私みたいなやつなんか完璧アウェーな場所じゃん!!」
放課後、1日の鬱憤を晴らすためにバンドのスタジオにやってきた。
そんな私を煙たがりながらスタジオに入れてくれたヒロ。
ヒロは煙草に手を伸ばした。
「そんな事言われたって、勉強してへんかったお前が悪いんやろ」
なんの悪びれもなく、煙草に火をつけながらそう呟いた。
煙草をふかしながらのチューニングは、やはり彼にとっては当たり前のルーティングらしい。
「まあまあ。ヨルだってなんとかして3年間楽しめるようにしたらええやん!俺らも手伝うからさ」
ヒロと私の仲介をするかのように、間に割って入ってきたカズマ。
ヒロの煙草を取り上げて、その煙草を灰皿に押し付けた。
「あと1年は待てよ、未成年?」
「うわ、出た出た。うっぜぇ~の」
ヒロはカズマを『しっしっ!!』と手で遠ざけるような手振りをする。
そんなヒロをカズマは優しく見守っていた。