The Slave
1.
ここは海外の某国。

移住して8年になる主人公もも、33才。

子供服の店で月曜日から金曜日までフルタイムで働いて生計を立てているももは、今日も自転車で出勤する。
10時から夕方6時まで仕事をし、また自転車で45分かけて帰宅。
土曜日は半日だけハウスキーパーとして働いている。
そんな毎日を送っていた。

家はベッドルームが２つ、バスルームが１つの一軒家で2才年上のハウスメイト、ジェームズと一緒に住んでいた。
ここで暮らすようになって1年ちょっと。
異性のハウスメイトは、この国では珍しくない。普通に友達になる事もあれば、恋に落ちる事もあり、あまり顔を合わせない事もあったりで、どう付き合っていくかは自分次第だ。
ももとジェームズはお互い仕事が忙しく、なかなか顔を合わす機会がないものの揉め事もなく、仲良く暮らしていた。

ももは今の生活がわりと気に入っていた。
強いて言えば、金銭的にあまり余裕がないこと。日常会話には困らないもののそれほど語学力のないももには、この国で給料の高い仕事につく事は難しかった。
今の仕事だって、色々な店に行って何十枚も履歴書を配り歩いてやっとゲットした。
ここで働いて2年。家賃を払い、食料品を買い、携帯料金を払ったらあとはいくらも残らなかった。

外食なんて滅多にしない。
お昼も、お弁当を作って持っていく。
交通費節約の為に自転車。
友達とカフェでお茶だけ頼んでお喋り。
唯一の贅沢は仕事帰りにジムに行ってヨガとピラティスのクラスに参加すること。
毎週、わずかでも必ず貯金するようにしている。

しかし、そんな慎ましい日々を送っていたももにある事件が起こり、どうしても家賃が払えなくなってしまった。
事情が事情だったのでジェームズは快く承諾してくれたが、いつまでも迷惑はかけられない。

ももは、もう一つ仕事を増やす事にした。
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表紙・目次

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