気高き国王の過保護な愛執
温かい手が、背中をなでる。素肌に触れられる感覚に、吐息が熱を帯びた。

まっすぐ見つめてくる、不思議な色の瞳。


「きみが好きだよ」

「ええ」

「今からきみを、ぼくのものにするよ」


今のルビオにとって、この言葉がどれほどの決意を要するものか、わかるだけにフレデリカは、胸を打たれた。


「ええ」


抱きしめ合ってキスをした。

初めて深く、唇を割って絡むキス。ルビオが半身を起こし、身体を入れ替えてフレデリカを下に敷く。

人体は熱くて重いものだと、知っていたはずなのに、フレデリカは自分をそっと押し潰すルビオの重みに、目がくらむような驚きを覚えた。




「痛い?」と聞かれるまで、ぎゅっと目を閉じていたことに気づかなかった。「痛いわ」と正直に答えると、ルビオはなぜか満足そうに笑う。


「なにがおかしいのよ」

「だって、ぼくがあげた、一度きりの痛みだ」


ルビオの汗が、フレデリカの肌に落ちた。ぐ、と力を込められると、鈍痛と疼きに襲われ、甘い呻きが漏れる。

熱く濡れた身体で、ルビオはフレデリカを抱きしめた。


「忘れないで」


抱きしめ返した身体は、また小刻みに震えていた。

まだなにか怖いの、と問うと、これは違うよ、とささやきが返った。

欲しくてたまらなかったものが、目の前にあって、それに手を伸ばしてる瞬間を想像してよ。


「震えるだろ?」


なぜか得意げな声のルビオに、フレデリカは「そうね」と笑った。


* * *


ローブの男は、口元に笑みを作り、「──ほ」と小さく声を上げた。


「吹っ切れたお顔ですな」


冷やかしを意に介さず、平然と水を飲むルビオに対し、フレデリカは顔が赤らむ自分を未熟だと感じた。
< 106 / 184 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop