気高き国王の過保護な愛執
本当によく似た兄妹だわ。

フレデリカはもらってしまった涙を見せないようにしながら、王女の肩に手を置いた。頭をなでたりして、この気高い姫を子供扱いするのはためらわれた。それはルビオの役目だ。


「たくさん学びましょう、イレーネ様」


鼻をすする音がする。


「ルビオはこれから長い時を、王として生きなければなりません。助けてあげられる人になりましょう。ルビオがそうしたがっていたように」

「私はどうせ、そのうちどこかの国へ嫁がされるわ」

「では嫁ぎ先を選べるくらいの王女になりましょう。そのためには国は健やかで、あなたは圧倒的に魅力的である必要があります」


腕を顔の上に置いたまま、イレーネは考え込んでいるようだった。


「手伝ってくれる?」

「もちろんです」


さらに少し考え、やがて再び腕を草の上に投げ出した。


「ならたぶんできるわ」


自信たっぷりの涙声だった。




「心理学の話ですが、いいかもしれませんね。たとえば群衆の心理と個の心理の違い。イレーネ様にもかかわりがあります」


そろそろ屋内に戻ろうかという頃、フレデリカは思案した。

自分も興味があるし、もしかしたらイレーネの、人に対する鋭い観察眼は、その分野で花開くのでは。

イレーネがあきれ顔をする。


「リッカこそ、今からでも大学に行けば?」

「そうか、大学という手がありますね! 通うのは難しいとしても、教授をお招きするとか…。一度クラウス様に相談してみます」


個人的にはなるべくクラウスから離れていたいが、仕事柄そうもいかない。
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