気高き国王の過保護な愛執
わざと自尊心を削ぐような乱暴さで引っ立てられていくルビオを、なすすべもなく見守った。
扉が閉まると、クラウスが持っていた図面を机に叩きつけた。
「くそ!」
さっきまで余裕を見せていた男の、豹変ぶりにフレデリカはぎょっとした。
「クラウス様…」
「まずい」
「えっ、でも、あんなこじつけの罪状で、本当に処刑されたりなんて…」
「まずいのは、地下牢に連れていかれたことです。牢に入れられてしまったが最後、我々には手出しできない」
「あっ…」
フレデリカはようやく、彼がなにを憂慮しているのかわかった。そんな彼女に、クラウスが余裕のない顔でにやっと笑んでみせる。
「たとえば、罪を悔やんで自害、なんて筋書きも思いのままなんですよ」
「そんな!」
「そして故意か偶然かわかりませんが、地下牢は強化のため何度も手が入れられており、モウルが断裂してしまい、実質存在しない唯一の場所です」
巻き毛に指を突っ込み、見たことのない険しい顔で、どこでもない場所を睨んでいる。
フレデリカは蒼白になり、悲鳴が漏れそうになるのを手で押さえた。
クラウスの祈りの声は、悲痛だった。
「どうか油断しないで、ディーター…!」
扉が閉まると、クラウスが持っていた図面を机に叩きつけた。
「くそ!」
さっきまで余裕を見せていた男の、豹変ぶりにフレデリカはぎょっとした。
「クラウス様…」
「まずい」
「えっ、でも、あんなこじつけの罪状で、本当に処刑されたりなんて…」
「まずいのは、地下牢に連れていかれたことです。牢に入れられてしまったが最後、我々には手出しできない」
「あっ…」
フレデリカはようやく、彼がなにを憂慮しているのかわかった。そんな彼女に、クラウスが余裕のない顔でにやっと笑んでみせる。
「たとえば、罪を悔やんで自害、なんて筋書きも思いのままなんですよ」
「そんな!」
「そして故意か偶然かわかりませんが、地下牢は強化のため何度も手が入れられており、モウルが断裂してしまい、実質存在しない唯一の場所です」
巻き毛に指を突っ込み、見たことのない険しい顔で、どこでもない場所を睨んでいる。
フレデリカは蒼白になり、悲鳴が漏れそうになるのを手で押さえた。
クラウスの祈りの声は、悲痛だった。
「どうか油断しないで、ディーター…!」