気高き国王の過保護な愛執
革の装丁をめくり、はっとした。
「どうしました?」
「クラウス様…勅使を出す許しをください」
聖書を凝視したまま声を震わせるフレデリカに、クラウスも顔色を変える。
「あなたの頼みでしたら。ですが、どこへ」
フレデリカは決然と言った。
「王立書院へ」
* * *
ルビオが投獄されて二日目の夜が過ぎた。
一睡もできず、フレデリカは自室の寝台で横になっていた。
ルビオが一番参っているだろうに、自分が万全でなければ、いざというとき役に立たない。それはわかっているが、眠れない。
明け方の光は、城内には差し込まない。
外の空気でも吸ってこようかと、身体を起こしかけたとき、物音を聞いた。
誰かが扉を叩いている。
「誰?」
「失礼いたします」
滑り込んできたのは、あの金髪の、少年のようになった女性だった。黒いローブに身を包み、燭台を手に音もなく入ってくる。
フレデリカは呆気に取られ、彼女の透き通るような美しさに見入った。
「陛下からご伝言です」
「会ったの?」
「監視を避け、壁越しに。それと窓から、水と食料を投げ込みました」
胸をなで下ろした。清潔な水さえ飲めれば、当分は大丈夫だ。
「伝言をお伝えします。『きみは元気でいてね』と」
「どうしました?」
「クラウス様…勅使を出す許しをください」
聖書を凝視したまま声を震わせるフレデリカに、クラウスも顔色を変える。
「あなたの頼みでしたら。ですが、どこへ」
フレデリカは決然と言った。
「王立書院へ」
* * *
ルビオが投獄されて二日目の夜が過ぎた。
一睡もできず、フレデリカは自室の寝台で横になっていた。
ルビオが一番参っているだろうに、自分が万全でなければ、いざというとき役に立たない。それはわかっているが、眠れない。
明け方の光は、城内には差し込まない。
外の空気でも吸ってこようかと、身体を起こしかけたとき、物音を聞いた。
誰かが扉を叩いている。
「誰?」
「失礼いたします」
滑り込んできたのは、あの金髪の、少年のようになった女性だった。黒いローブに身を包み、燭台を手に音もなく入ってくる。
フレデリカは呆気に取られ、彼女の透き通るような美しさに見入った。
「陛下からご伝言です」
「会ったの?」
「監視を避け、壁越しに。それと窓から、水と食料を投げ込みました」
胸をなで下ろした。清潔な水さえ飲めれば、当分は大丈夫だ。
「伝言をお伝えします。『きみは元気でいてね』と」