気高き国王の過保護な愛執
「ぼくはようやく、気持ちだけでもなく、ぼくのすべてで言えるよ」


フレデリカの胸が、とくんと鳴った。

しかしルビオは、そこで急に照れくさくなったようで、下を向いてしまう。フレデリカが見守る前で、座り込んだベッドの、くしゃくしゃになったリネンに目を落とし、それからやっと顔を上げた。


「愛してる、フレデリカ」


繋いだ手から、鼓動が伝わってくる。

不思議な色の瞳が、まっすぐこちらを見ていた。

また唇が重なり、今度は深く呼吸を奪った。片手は繋いだまま、片腕がフレデリカの腰を抱き寄せ、そしてシーツの上に倒す。

愛してる。

ルビオはそれ以外の言葉を忘れてしまったようで、何度も何度も、そればかりささやいた。

熱い身体は、片時も離れたくないと態度で訴え、ついにはフレデリカは、熱が自分に伝染ったのではないかと感じるほどだった。


「リッカ」


たえまなく降らされるキスに、息継ぎもままならず、胸を叩いて自分は初心者なのだと教えなくてはならなかった。

それに気づくとルビオは、愛しげにフレデリカを見下ろして笑い、だが行いを改めはせず、ますます激しく、とろりと濃いキスを教え込んだ。


「愛してる、リッカ」


どうやら本当に、これしか言えなくなってしまったみたいね。

汗で身体の表面が溶ける。そんな感覚に侵されながら、フレデリカはぼんやりそう考え、笑った。

私も、と言うのを忘れていたことに気づいたのは、夜が明けた後。

寝起きのルビオが、そのせいですね出してからだった。


* * *


「ねえ見て、リッカ、いい細工だと思わない?」


ルビオがなにかを持った手を頭上に掲げ、庭を走ってくる。バラ園のガーデンチェアでイレーネの勉強を見ていたフレデリカは、顔を上げた。
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