気高き国王の過保護な愛執
「わあっ、きれい」
「だろ、式典用の剣を作り直すことになってね、前使ってたものをばらしたんだ。そこにこの、糸切りスミレの装飾があってさ」
ルビオが持っていたのは銀製の指輪だった。はめると指にスミレの花びらが巻きつくような、繊細な造りになっている。
イレーネも覗き込み、わあーと声をあげた。
「作らせたの?」
「それが、あの鍛冶師がね、剣を仕立て直すついでに作ってくれたんだ。曽祖父の時代の剣だから、なにか身に着けられるものに作り替えてほしいと頼んだら、こうしてくれた。おしゃれだよね」
「あの筋肉男が!」
「人は見かけによらないよなあ。はいこれ、リッカにあげる」
「ありがとう!」
どの指に合うかな、と試してみると、左手の中指がぴったりだった。
追いついてきたクラウスが、げんなりした顔でルビオを見る。
「女性に指輪を贈るのに、そんな無造作なやり方がありますか」
「兄さまがしてるの、同じものね?」
見ればルビオの指にも、同じスミレのモチーフで、だがぐっと男性的に、指の第二関節を覆う勇ましいデザインの指輪がはめられている。
偶然にも、それも左手の中指だった。
「そうだよ。もちろんこっちがメインだ。誰かに差し上げてはどうですかって、女性ものも作ってくれたんだよ」
「筋肉の株が上がりまくりだわ…」
「今ではもう採れないような、すごくいい銀を使ってるらしいよ」
フレデリカは、左手を日にかざし、美しい細工に見入った。
「嬉しい、いつもつけることにするわ」
「こんな、大掃除のついでみたいな流れで渡された指輪に、そんなに喜ぶなんて、リッカって健気…」
「指輪を渡すなら、もう少しなにか、あるんじゃないですか、ディーター」
「喪中に申し込みなんてできるわけないだろ」
「あ、一応考えてはいたんですね」
「だろ、式典用の剣を作り直すことになってね、前使ってたものをばらしたんだ。そこにこの、糸切りスミレの装飾があってさ」
ルビオが持っていたのは銀製の指輪だった。はめると指にスミレの花びらが巻きつくような、繊細な造りになっている。
イレーネも覗き込み、わあーと声をあげた。
「作らせたの?」
「それが、あの鍛冶師がね、剣を仕立て直すついでに作ってくれたんだ。曽祖父の時代の剣だから、なにか身に着けられるものに作り替えてほしいと頼んだら、こうしてくれた。おしゃれだよね」
「あの筋肉男が!」
「人は見かけによらないよなあ。はいこれ、リッカにあげる」
「ありがとう!」
どの指に合うかな、と試してみると、左手の中指がぴったりだった。
追いついてきたクラウスが、げんなりした顔でルビオを見る。
「女性に指輪を贈るのに、そんな無造作なやり方がありますか」
「兄さまがしてるの、同じものね?」
見ればルビオの指にも、同じスミレのモチーフで、だがぐっと男性的に、指の第二関節を覆う勇ましいデザインの指輪がはめられている。
偶然にも、それも左手の中指だった。
「そうだよ。もちろんこっちがメインだ。誰かに差し上げてはどうですかって、女性ものも作ってくれたんだよ」
「筋肉の株が上がりまくりだわ…」
「今ではもう採れないような、すごくいい銀を使ってるらしいよ」
フレデリカは、左手を日にかざし、美しい細工に見入った。
「嬉しい、いつもつけることにするわ」
「こんな、大掃除のついでみたいな流れで渡された指輪に、そんなに喜ぶなんて、リッカって健気…」
「指輪を渡すなら、もう少しなにか、あるんじゃないですか、ディーター」
「喪中に申し込みなんてできるわけないだろ」
「あ、一応考えてはいたんですね」