気高き国王の過保護な愛執
「しかしあのジャン・ミュイ、私としてなかなかきちんと仕事をしていたようですね」
クラウスが思案顔をする。
「そうなんだよ。それでなければさすがのおれも、たぶんどこかで気づいた」
「首輪で繋いで助手に使ってやりましょうか。いざというとき替え玉にもできる」
イレーネがすかさず茶々を入れる。
「二股がばれたときとかね」
「ばれるところまでが二股の楽しみです」
余裕の笑みを見せるクラウスに、王女は心底薄気味悪そうに目を細めた。
王城のてっぺんには、ルビオの在城を知らせる青い旗。
最近王都の人々は、あの旗が上がるのを楽しみにしているらしい。
「エル・ルビオの人気はすごいわよ。なんたって若くて美形だもの。妃候補は誰かって、女たちはその話ばっかりなんだって」
「見た目だけの王ですねえ、ディーター」
以前より少し軽装になったルビオが、風に顔を向ける。
どこからか運ばれてくる、麦穂の匂いがする。
「噂だけの王よりはいい」
そう言う声は、明るかった。
クラウスが思案顔をする。
「そうなんだよ。それでなければさすがのおれも、たぶんどこかで気づいた」
「首輪で繋いで助手に使ってやりましょうか。いざというとき替え玉にもできる」
イレーネがすかさず茶々を入れる。
「二股がばれたときとかね」
「ばれるところまでが二股の楽しみです」
余裕の笑みを見せるクラウスに、王女は心底薄気味悪そうに目を細めた。
王城のてっぺんには、ルビオの在城を知らせる青い旗。
最近王都の人々は、あの旗が上がるのを楽しみにしているらしい。
「エル・ルビオの人気はすごいわよ。なんたって若くて美形だもの。妃候補は誰かって、女たちはその話ばっかりなんだって」
「見た目だけの王ですねえ、ディーター」
以前より少し軽装になったルビオが、風に顔を向ける。
どこからか運ばれてくる、麦穂の匂いがする。
「噂だけの王よりはいい」
そう言う声は、明るかった。