気高き国王の過保護な愛執
そのとき、丘の上で篝火の炎が、ぱっと花開いた。"火分け"が始まったのだ。
ふたりは大きな木の下に座った。
近くの宿屋から、にぎやかな歌声が聞こえる。かつては領主館だった建物だ。
薬草畑の涼やかな香りが、二人のところまで届く。
なんて名前、とそっと尋ねる声がした。
逞しい腕がその肩を抱き、茶色い髪に口づける。
豊穣の祈りを見守るのは、きらめく星々。
つぶやきは藍色の空に向かって吐き出された。
「オットー」
美しい響きだった。
Fin
──Thank you!
ふたりは大きな木の下に座った。
近くの宿屋から、にぎやかな歌声が聞こえる。かつては領主館だった建物だ。
薬草畑の涼やかな香りが、二人のところまで届く。
なんて名前、とそっと尋ねる声がした。
逞しい腕がその肩を抱き、茶色い髪に口づける。
豊穣の祈りを見守るのは、きらめく星々。
つぶやきは藍色の空に向かって吐き出された。
「オットー」
美しい響きだった。
Fin
──Thank you!