気高き国王の過保護な愛執
閉じた瞼を木漏れ日が温める。

ルビオのキスは優しいようでいて、やはりそう育った人間ならではの、当然のように発揮される支配力と包容力を感じさせる。それからかすかな不安も。

両腕でフレデリカを抱きしめ、熱い確かなキスをする。


「きみの気持ちは?」


いたずらっぽく笑う、灰色の瞳。

フレデリカは自分からも唇を寄せた。


「ルビオのせいで、一生独身の可能性が出てきたところよ」




帰り道、王城へと続く細い道が見えてくると、どこからともなく警備兵が現れ、三人の前後を守った。

ルビオは意識する様子を見せず、先頭を歩く。イレーネはフレデリカと手を繋ぎ、小石を蹴りながらその後を進んだ。

跳ね橋を抜け、門をくぐると、再び警備兵は音もなくどこかへ消えた。

ふとルビオが足を止めたので、イレーネが丘から蹴り続けてきた偉大な小石を見守りながら歩いていたフレデリカは顔を上げた。

あの老人が、進路に立ちふさがるように立っているのだ。

前に見たときと同じように、古びたローブを目深にかぶり、顔も手足も見えない。


「あら、お加減いかが」


イレーネが気さくに声をかけると、大儀そうに時間をかけて身体を丸め、深々と首を垂れた。

びっくりしていたルビオが、「友達かい?」とイレーネに尋ねる。


「そんなようなものよ。占いをするし、いろんなことを知ってるの」

「そうか、妹姫が世話になっているようだ、ありがとう」


ためらいなく礼を述べた王を、ローブの向こうから、老人がじっと見つめているようにフレデリカは感じた。

陰になりながらも、わずかに見えている口元が動く。


「先の王と、兄上の謎は、あなたの記憶の中に」
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