気高き国王の過保護な愛執
「ヒプノーシスね」と言ったのはフレデリカだった。男が満足そうにうなずき、懐から鶏卵ほどの大きさの石を取り出す。

不思議な石だった。

透明で、完全な球体をしており、中心にもうひとつ、乳白色の球体が浮かんでいる。それ自体が発光しているようにも見え、じっと見入っていると、意識を吸い取られそうになる。

男がしなびた指先を、長椅子に向けた。


「あちらに」


寝そべるということか。

ルビオは男と長椅子を交互に見やり、重い腰を上げた。

ふ、となじんだ香りが彼を包み込み、ルビオはフレデリカに、優しく抱きしめられていることに気がついた。

唇が重なってくる。

思いやりにあふれたキスを、小さな子供みたいな純真な気持ちで受け取った。


「目を覚ましたら、私を見てね」

「また刷り込みをする気か」


見つめ合って、もう一度そっとキスをする。

ルビオは立ち上がった。

なにかが始まるのだ。始めないといけないのだ。

だけど、リッカ。

ぼくは怖い。


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