気高き国王の過保護な愛執
「あなたがやったんだとしたら、絶対にどうにもならない事情があったのよ」
「事情があれば、やってもいいのかい」
「あなたが、なにかに追い詰められてしたことなら、私は許すわ」
フレデリカの指が、おそらく無意識に、ルビオのひざを引っかいた。下衣の肌触りを確かめるように、布地をこする。
冗談めかして、やめて、と言おうとしたが、声が喉に張りついて出てこない。
「むしろ、そうまでするほど怯えてた"ディーター"を、慰めてあげたいわ」
「人を簡単に信じすぎだよ」
「ひと月一緒に暮らした人を信じるのは、"簡単"?」
「一緒に暮らしたのは、ぼくだろ?」
フレデリカが顔を上げた。茶色い瞳が、燭台の炎を映して揺れている。
ルビオは息苦しさを覚え、唾を飲み込んだ。
「そう、あなたよ」
「きみが知ってるのは、ルビオだ」
不満そうにフレデリカが口元をゆがめる。物わかりの悪い生徒を前にした教師みたいだとルビオは思った。
フレデリカは立ち上がりながら、ルビオのほうへ手を伸ばした。両手でルビオの顔を挟み、言い聞かせるような口調になる。
「私が知ってるのはね、今ここにいる、あなたよ」
やめてくれ。
今、自分の手はすがるものを探していて、なにひとつ手の中にないことに絶望していて、空を掻いている。
そこにそんな、信頼を注ぎ込むのはやめてくれ。
受け止めきれなくて、溺れそうになって、だけど唯一、今のぼくが手に入れられるかもしれないもの、それはきみだと、心が勝手に手を伸ばしてしまう。
フレデリカの瞳が、驚きに見開かれるのを見た。
「ルビ…」
力任せに腕を引っ張り、倒れ込んできたところに口づけた。髪に手を入れ、逃がさないよう腰を抱き、身体を入れ替えて彼女を長椅子の上に転がした。
起き上がろうともがくのを、ドレスの脚の間に膝を入れ、裾を踏みつけることで封じ、覆いかぶさって再びキスをする。
「事情があれば、やってもいいのかい」
「あなたが、なにかに追い詰められてしたことなら、私は許すわ」
フレデリカの指が、おそらく無意識に、ルビオのひざを引っかいた。下衣の肌触りを確かめるように、布地をこする。
冗談めかして、やめて、と言おうとしたが、声が喉に張りついて出てこない。
「むしろ、そうまでするほど怯えてた"ディーター"を、慰めてあげたいわ」
「人を簡単に信じすぎだよ」
「ひと月一緒に暮らした人を信じるのは、"簡単"?」
「一緒に暮らしたのは、ぼくだろ?」
フレデリカが顔を上げた。茶色い瞳が、燭台の炎を映して揺れている。
ルビオは息苦しさを覚え、唾を飲み込んだ。
「そう、あなたよ」
「きみが知ってるのは、ルビオだ」
不満そうにフレデリカが口元をゆがめる。物わかりの悪い生徒を前にした教師みたいだとルビオは思った。
フレデリカは立ち上がりながら、ルビオのほうへ手を伸ばした。両手でルビオの顔を挟み、言い聞かせるような口調になる。
「私が知ってるのはね、今ここにいる、あなたよ」
やめてくれ。
今、自分の手はすがるものを探していて、なにひとつ手の中にないことに絶望していて、空を掻いている。
そこにそんな、信頼を注ぎ込むのはやめてくれ。
受け止めきれなくて、溺れそうになって、だけど唯一、今のぼくが手に入れられるかもしれないもの、それはきみだと、心が勝手に手を伸ばしてしまう。
フレデリカの瞳が、驚きに見開かれるのを見た。
「ルビ…」
力任せに腕を引っ張り、倒れ込んできたところに口づけた。髪に手を入れ、逃がさないよう腰を抱き、身体を入れ替えて彼女を長椅子の上に転がした。
起き上がろうともがくのを、ドレスの脚の間に膝を入れ、裾を踏みつけることで封じ、覆いかぶさって再びキスをする。