秘密の携帯電話
雪菜はやっとのことで顔を背けて荒く熱い吐息を吐き出した。
限がないそれに身体の全身が熱を持ち、頭の中がショートし、思考を奪われる。
全身の力が抜けたようにズルズルとその場にへたり込んだ。
渋々、離した神崎は機嫌が戻ったのか、雪菜の頭をぐりぐりと撫でまわし見下ろす。

「ねぇ、俺にも写真撮らせてよ」

返事を聞く前にスーツの内ポケットから取り出したスマホを雪菜に向けた。


ーーパシャ


なんとも気の抜けた音が部屋に響く。
不意を突かれた雪菜は反抗する気力もなく、自分のものとは思えぬほどに甘い吐息が時折洩れ、
それだけで死んでしまうんじゃないかと思うくらいに恥ずかしかった。
満足そうにスマホを操作し、雪菜と同じように待受け画面に設定した。

「これでお相子♪」

そう言って見せた待受け画面には、一番恥ずかしい頬が赤くなった憂いのある表情をした雪菜が写っていた。




*  Fin *

>>side:神崎 優
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