告白の時間
「その時さぁ…オレ、思い切り受け流しちゃったんだよね、それ…」

「うん…なんで?」

「ちょっとね…怖かった、その時は。千歳をこうゆう事で失うのが…」

「なるほど…ね」

「だから気づかないフリをした…でも千歳には見抜かれてたみたい…」

ラジオからは辛島美鳥のサイレントイヴが流れている。

鳴海は先程から右耳にしていたイヤフォンをはずそうとして、その手を止めた。

「…プロポーズしたのは、贖罪の念からだった?」

淡々とした口調で、鳴海は尋ねた。

「うん、それもある…けど鳴海が本気出したらヤバイなって、ちょっと焦ったのもある」

「?…何で?」

「鳴海が本気出したら、千歳はなびいてしまう確信がある!」

「それはどうかなぁ…」

「いやいや、オレ鳴海に本気出されたら受け入れちゃうから」

「何それ?」

鳴海はクスリと笑った。

「二人が遠くに行ってしまうみたいで嫌だったのね…」

「行かないでしょ」

「う〜ん…千歳にはフラれてしまったし、どうしようかな〜オレ…」

「あれ?明美ちゃんは?」

「あ〜別れたよ」

「あらら…」

「オレの入るすき間はなかったんだよね…千歳は鳴海が好きだと思うよ…」

花園は複雑な表情を浮かべた。
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