告白の時間
「…帰る、先帰るわ、じゃあね花園。ここ電波来てないから!看板に書いてあったから!残念!!」

何切りですか、それ?
…古いお笑いのネタ風に千歳は言うと、坂道を下りて行ってしまった。自分は一人残されて、しゃがみ込む。

「だってこんな方法しか思いつかないんだよ、千歳…」

電話で彼女と別れるフリをしたのがバレ、千歳をおこらせてしまう…つくづく自分の引き出しの少なさに、ため息が出る。

「つまり、花園君は愛されたがりなんだねぇ」

生島さんが言った言葉を思い出す。
そうです、オレって愛されたがりなんです…千歳にも鳴海にも、誰にでも…

でも、これは本当…信じてくれなくてもいいけど千歳、君に想われているのが一番好きだったんだ。ひどく安心して、つい甘えてしまって…いやかなり…?

軽く落ち込んでからもう一つ、小さな女の子の声を思い出す。

「がんばって…」

はい、がんばります。自分にウソをついたら、きっともっとダメになるから…


-翌晩-
閉店後の店内には千歳一人だった。鳴海が車で送ってくれると言っていたから、いるものだと思っていた。良く考えたら、鳴海のいる所でプロポーズの返事を聞くのも何だよなぁ…
鳴海が戻って来るまでに、話しはつくはずだ。がんばれ、オレ!

「あ~えっと、返事を聞いてもいい?」

聞きたい…でも聞きたくない…どっちなんだオレ?!
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