告白の時間
慣れ親しんだ会議室の重い扉が開かれると、どよめきが起こった。重役達が全てそろっている中を通って、榊さんと自分は席に着く。

「お待たせしました。今日の会議には私が個人的に相談にのってもらっている、経営コンサルティングの鳴海さんに同席してもらい行いたいと思います。異議のある方はいますか?」

榊さんが重役達に自分を紹介すると、また先程よりも大きなざわめきが起こった。
二年の間に重役の人間に入れかえはあったものの、大半は当時の立て直しに奔走した顔ぶれが並んでいた。

「社長、これは一体どうゆう事ですか?」

「鳴海社長は引退後、行方不明だと聞きましたが?」

質問が飛び交う中、榊さんが一つ咳ばらいをすると一堂はいっせいに静まった。

「いろいろありまして…鳴海さんは企業相談士の資格を取られた正式なコンサルタントです。今回特別に社の方まで来て頂いて、我が社のために協力をして頂ける事になりました」

そう説明すると榊さんが自分の方を見て、何か一言を…と促した。

「…ご紹介頂きました、鳴海です。覚えていてくれる方がいるようで光栄です。行方不明中に資格を取りました。今回、微力ながら尽力したいと思います。よろしくお願いします」

少し説明っぽくなったスピーチの後、拍手が起こった。

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