元ヴァイオリン王子の御曹司と同居することになりました
気品ある輝きを放つ、美しいヴァイオリンを構える。
私が今使っている楽器とは、たぶん桁が違う。
弓を弦に当て、軽く弾いただけで、心地いい振動が骨に伝わった。
高価なヴァイオリンの感触を味わいつつ、ゆっくりスケールを登っていく。
迫力ある低音。
艶やかな中間音域。
高音の反応の良さは想定以上。
弓も素直に言うことをきいてくれる。
……ああ、素敵な楽器……!
この楽器が共にしてきた出海君の人生を想う。
ただの優しい王子様だったら好きにならなかったし、
ただのルックスがいい御曹司でも好きにならなかった。
出海君だからこそ、好きになったし、そんな彼とこれからも一緒にいたい。
苦労することもあるだろうけど、頑張れる。
–––––––うん。決めた。
私は出海君のヴァイオリンを抱きしめて、彼に向き直る。
–––––––「結婚してください」
王子様は、微笑んで、
想いの分だけ、
長い長いキスをしました。
fin.
私が今使っている楽器とは、たぶん桁が違う。
弓を弦に当て、軽く弾いただけで、心地いい振動が骨に伝わった。
高価なヴァイオリンの感触を味わいつつ、ゆっくりスケールを登っていく。
迫力ある低音。
艶やかな中間音域。
高音の反応の良さは想定以上。
弓も素直に言うことをきいてくれる。
……ああ、素敵な楽器……!
この楽器が共にしてきた出海君の人生を想う。
ただの優しい王子様だったら好きにならなかったし、
ただのルックスがいい御曹司でも好きにならなかった。
出海君だからこそ、好きになったし、そんな彼とこれからも一緒にいたい。
苦労することもあるだろうけど、頑張れる。
–––––––うん。決めた。
私は出海君のヴァイオリンを抱きしめて、彼に向き直る。
–––––––「結婚してください」
王子様は、微笑んで、
想いの分だけ、
長い長いキスをしました。
fin.