元ヴァイオリン王子の御曹司と同居することになりました
オケの練習を終えて、本来の家に帰宅する。
住み慣れた我が家。
キッチンもリビングもベッドも見回せる、狭いマンションの一室。

庶民の部屋。

数日過ごした出海君の高級マンションとは大違い。

だけど身の丈に合った、落ち着く空間。

家中の窓を開け、空気を入れ換える。

だけど、なかなか気持ちは晴れていかない。

オケの練習はうまくいった。
ここ数日真面目に練習していたおかげで、弾ける楽しさを味わえた。

もっとテンション上がっていいはずなのに。

……出海君の存在が、
いや、
出海君に対する私の恋心が、心の重りになってる。

恋の始まりっていつもふわふわそわそわするものじゃない?

なのに今回は軽く落ち込んでる。

先が思いやられるわ。



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