元ヴァイオリン王子の御曹司と同居することになりました
駅で、電車で、周りの女性たちを眺める。

いたって普通。
それが自己評価。

もし、どうしても出海君のことが好きで付き合いたかったら、ふさわしい女性になるよう努力すべきなのだということはわかっている。

美容に気を配り、ファッションを研究して、知性も磨いて……とか。

20代の頃、好きな人ができるとそんな努力もしていた。

30を越すと、コスメも洋服も本も、気に入ったものしか買わなくなった。
努力も挑戦もほんの少しだけ。
これが身の丈、と割り切ってから、精神的に楽になった。

これを変えるのは、とても勇気もエネルギーもいることだ。

……やっぱり、出海君にふさわしくない。
……家政婦で納得されるわけだ。






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