元ヴァイオリン王子の御曹司と同居することになりました
もう、そんなのを超越するピアノ演奏に、今回も全面降伏。

すごすぎる。

鳥肌立ちまくり。

プロのピアニストってすごい。
そのプロの中でもトップを走り続けられる天才っていうのはこういう人なんだ、ってことを思い知らされた。
コンサートホールの生演奏で、しかもオケをバックにしてるというのに、これほどクリアに音が飛んでくるとは。
しかもその音楽の深さ。自分への陶酔ではなく、曲の奥深くに入り込むような哲学的な姿から奏でられる深い表現は、次々と曲の魅力を気づかせてくれる。
有名な第18変奏での甘いメロディも、切なさとか憧れとか、色んな要素が入り混じった複雑かつ幅のある演奏で味わい深い。
ピアニストは約25分の曲の間ほぼ弾きっぱなし、技術的にも難しくオケとの絡みでも緊張を強いられるであろう、過酷な曲。
その最後の第24変奏、ピアニストが恐れるという右手の跳躍4連発。疲れている終盤にこんな難所を作るとは、自身もピアニストだったラフマニノフからの挑戦的な匂いを感じてしまうのだけど、当のラフマニノフも自作自演する時は相当緊張したらしい。黒川ミシェルはそんな4発を危うさなど感じさせず当ててきた。神レベル。
そしてラスト近くのグリッサンドのきらびやかさ! 後ろでオケも鳴ってる中だと潰れがちだけど、一瞬の間隙をついたのと、全身でのグリッサンドで目からも聞こえて、ちゃんと届いた。神レベル再び。
華やかでスピード感あふれる曲の最後は、意外にも、密やかに、ふわっと曲が閉じられる。
客席に余韻を味わおうと一瞬の静寂が訪れた。
ああ、よかった、気持ちはみんな一緒。さすが“わかってる”お客さんが多いんだろう。
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