元ヴァイオリン王子の御曹司と同居することになりました
「いい匂い」

彼は、私の首筋に顔を埋めた。

だめだ、心臓おかしくなる。

「希奈さんだから家に上げたし、一緒に住んでもらったんだよ」

……これは、どうしたらいいんだろう。

「……起きてたの……」

ようやくそれだけ言う。

「うん」

「よく顔に出なかったね」

「表情を作るのは得意」

さらっと言った言葉の裏に、彼の今までの人生が垣間見えた気がした。

「……わかる気がする」

「希奈さんのそういうところ、好き。他にもたくさんあるけど、要は、希奈さんのことが大好き」

……脳みそも身体も溶けそうです。

「ということで、僕と結婚を前提にお付き合いしてください」

……。

…………。

……何を言ってるのだ、この人は。

……結婚、とか、きこえたけど?

「希奈さんと一緒に暮らして、やっぱり希奈さんが好きだと思った。
希奈さんがいない日は寂しくて、ずっと一緒に暮らしたいと思った。
今日一緒に出かけて、これから何度でも出かけたいと思った。

希奈さんと特別な関係になりたい。

結論として結婚を申し込みます」
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