【短編】婚活ウォー!?ズ!!

「ここのラム肉は、ワインにあうんだ。君、知ってる? ラムとマトンの違いを」

さっきからぺっちゃくちゃぺちゃくちゃ、蘊蓄を垂れるか肉を食うか唾を飛ばすかしかしないこの男に、笑顔を貼りつけていた頬の筋肉が崩壊してきた。


年収一千万以上の男となら、とりあえず寝てみようと決めてホテルにやってきたがこの男は失敗だったかもしれない。

もし結婚したら、食事中こいつの蘊蓄を聞かなきゃいけなるわけで。

どうしよう。エッチ中に『君、知ってる? ここが性感帯なんだよ』とか言われたら、濡れるものも濡れやしないじゃん。

「ねえ、聞いてる?」

うお。次は聞いてる、かよ。韻踏まなくていいって。

「うんうん。博識なんだなあって関心してたの。凄いなあ」

早く食えよ、と本当は思ってたんだけどね。

T大出身の商社マン、おまけに東京23区にマンション持っていて、兄弟なし。顔も悪くない。若干頭が薄くなりそうな傾向があるが別に育ててやるから問題はない。

ただこんな良い物件が36歳まで無事だったって怪しいよね。
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