華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
ガチャリ、と扉が開く。
そこには王子と、白いローブを着た医者らしき人間が立っていた。


「医者を連れてきた。診察が終わるまでは皆外へ出ているように」

「王子……」

「大丈夫だ、私たちが信頼を置いている医者だからな。医者にすべてを任せ、まずはソフィアも自室で落ち着くといい」

王子は私の身体を支えるようにして、立ち上がらせる。
そして私の部屋まで連れて行った。

自室に戻り、王子は私をそのままソファーに座らせ、自身も私の隣へと座る。

私の手は依然震えたまま止まない。
そんな不安げに揺れる私の手を、王子は優しく握る。

「余計なことを考えるんじゃない。大丈夫、最悪の状況にはならないだろう」

「でも、でもナディがこんなことになってしまったのは、私のせいで……」

「誰のせいでもないだろう?生きている限り、どこにでも危険はある。どんなに気をつけていても起こるときは起こるものだ」

「そうじゃない。私の侍女にならなければ起こらなかったことだわ……!私がいたばかりにこんな目に合わせてしまったのよ。私さえ、私さえいなかったら……!!」

「それ以上言うな!!」

私の話を遮って王子は声を荒げた。

ビクリと身体を強張らせ、言葉を飲み込む。


王子は顔を歪ませていた。

……酷く悲しげな表情だった。
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