華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~


「私しかいなかったらなんだ?その先の言葉は絶対に言わせないぞ。お前はいなくていい存在なんかじゃない、いなければいけない存在なんだ。でなければ私は助けるわけがないだろうが」

「私にどれだけの存在価値があるというの……!この国を脅かす愚国の王女というだけでも、この国では忌み嫌われるだけの存在の私が!」

「それでも私にとってはソフィアはいなくてはならない人間だ!周りがなんと言おうと、私にとっては……!!」

「王子にとっては?……そう、初めに言ったわよね、私はあなたを"楽しませる存在だ"、と。そのためだけに必要な人間なのよね。あなたが飽きたら、私はお払い箱。それこそいなくてもいい存在になるのよ」

「ソフィア……」


――そうだ。

私は王子にとって暇つぶしのために生かされたんだったわ。


惑わされてすっかり忘れていた。

王子は私のことなんてなんとも思っていない。
私が王子の言葉や行動に困惑しているのを、楽しんでいるだけ。


王子がその遊びに飽きてしまったら、それこそ私に価値なんてない。
むしろこの国では厄介なもの以外のなにものでもなくなる。

なんでそんな簡単なことを忘れていたんだろう。
冷静に考えたら分かることじゃない。

私なんて、王子にとっては……。

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