華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
「ナディ……!」
「そ、ふぃあさま?」
力のないか細い声ではあったが、それでも私の名を呼んだことに安心して、思わず笑みが零れた。
ナディはなにが起こったのかまだ理解できていないのか、ぼんやりとした表情で、目だけをゆっくり左右に動かしている。
「大丈夫?」
「私、階段から落ちて……」
「そう。意識のない状態で発見されて、それでここに。お医者様に診てもらって、怪我はあるけれど命に関わるものではないそうよ。……よかった、生きていてくれて」
「ソフィア様……」
ナディは必死に私へと身体を向けようとするが、痛むのかその表情を歪ませる。
私は慌ててナディを制止した。
「無理しないで!あの高さから落ちたんですもの、身体中が痛むと思うわ。今はゆっくり休むの」
「申し訳ありません、ソフィア様」
「いいえ、謝るのは私のほうよ。私が無理をさせてしまったから」
「そんな無理だなんて……!むしろソフィア様にお仕えしてから、お手伝いすることが少なく、申し訳なく思うくらいですのに。ソフィア様のせいではありません。……それに」
「それに?」