華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
ナディは言いかけて口をグッと噤んだ。

「……どうしたの?」

「あの、とても言いにくいのですが……、そのどうやら私は故意に、階段から落とされたように思うのです」

ナディの発言に、私は大きく目を見開く。

落とされた……?

「それはどういうことなの?」

「洗濯ものを取りに階段を降りようとしたときでした。突然背中を押される衝撃があり……。誰が押したのかもわかりません、その瞬間から記憶がなくて」

「そんなことが……」

言葉が出ない。
まさか、故意に階段から落とされていたなんて。

いったい誰がこんなことを?

私を嫌う人間?
私自身には嫌がらせをしても効かないと、私の周りにいる人間に嫌がらせをし始めた?

けれど嫌がらせにしては度を超えているわ。

一歩間違えば、最悪の状況になり得ていた。

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