華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
それから朝食を摂り、部屋で悶々とした時間を過ごしていると、部屋の扉が叩かれた。
そこにいたのは王子だった。
あの日以来、夜どころかほぼ顔も合わさずにいたものだから、一週間ぶりの訪れとなった。
「お久しぶりですね、王子」
「そうだな、少し公務が立て込んでいたんだが、ようやく区切りがついた。その後変わりはないか?」
「特に……はございません」
変わりはないか?との問いに、少し口ごもる。
しかし王子にこの件を話したくはない。
そう思い、なるべく気づかれないように平静を保った。
「そうか。ところで少し話があるんだが、いいだろうか」
「話とは?」
「とりあえず城の庭でも散歩をしようか。今まで外に出ず、部屋で引きこもってばかりいただろう?たまには陽の光でも浴びた方が気持ちも前向きになる。話はそこでしよう」
そう言って、王子は私の前に手を差し出した。
よく考えてみれば、牢から出されたとき以来、外出というものをしていない。
部屋の中でだた悶々としているくらいなら、一旦外で頭を整理するのもありだろう。
「かしこまりました」
私は王子の手を取る。
王子の手の温もりはいつもと変わらなかった。
不思議と安心してしまう私がそこにいた。