華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
足元がグラグラと揺れるような感覚に陥る。
身分が高ければ、望むような結婚はできないのは分かっている。
でも、エリスはこの国の正妃でも申し分ない人間ではないか。
それに私は愚国の王女だった人間だ。
そんな女を正妃に迎えたなら、王子の評判も落としかねない。
「考え直して下さいませ、王子。私を正妃とするなら、あなたまでも悪く見られてしまう。せっかくのいい国が、私ひとりを選ぶことによって国の混乱を招きかねません」
「それこそ愚問だな。私がソフィアを正妃にすると言ったらするんだ。君はたしかにあの男の血が流れている。しかしあの男自身ではない。いずれ君が悪い人間ではなかったと、国民も気づくときがくるだろう」
「そんなときがいつ来るのです!?一旦落ちた名声を回復することは難しいのですよ!?」
「私が気にしなければいいことだろう?」
そういうことじゃない!
私は王子に叫びたかった。
一旦つけられた悪名は死んでもなおついて回る。
私によって王子が苦しい思いをするのだけは、どうしても避けたかった。