華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~

王子の持つ箱が、カタカタと小刻みに震える。


「なぜそれを早く言わない!?こうなるまでどうして隠していたんだ!」

「言えなかったのよ!王子には迷惑はかけられないと思って!!」

「迷惑だとかそういう問題じゃないだろう!!こんな嫌がらせはそうないぞ!?ナディのことも、一歩間違えていれば命を落とす危険だってあった。それなのに、どうして自分だけで解決しようとする?これはソフィアだけの問題じゃないんだ!」

これほどまでに激昂する王子を見たのは初めてだった。
今までは不機嫌さを表情に出すだけで、感情を露わに吐き出すことなんてなかったから。

"私だけの問題じゃない"

王子に言われて、事の重大さに改めて気づく。

「……そんなに俺は頼りないか?俺をそれほどまでに信用できないか?俺はソフィアを守りたい、その心の中にある苦しみや悲しみを取り除いて、君の心からの微笑みを見たいと思っているんだ。でも、心を開いてくれなくちゃ、俺はなんにもできないじゃないか……」


王子の悲し気な言葉が、私の心を抉る。

いつもの王子らしい口調じゃない。
私を俺と呼ぶのも、人前では滅多にださないものだろう。

それが今は、なんの躊躇いもなく吐き出されている。

きっとこれが王子の本音なのだろう。

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