華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
……私は見ようとはしてなかった。
どうせ王子から出る言葉は本心ではないのだろうと、まったく信用していなかった。
でも王子の姿を見て、理解した。
彼は、嘘偽りなんてない。いつも私にかけていてくれた言葉は、すべて本心から来るものなのだと。
――胸が痛い。
こんなに王子は、私のことを考えていてくれているのに。
「……ごめんなさい」
小さな声で呟く。
こんな言葉、いまさら言ったところでどうにもならないかもしれない。
でも、言わずにはいられなかった。
ふたりの間に、少しの静寂が流れる。
やがて王子は大きく息を吸い、そしてゆっくりと吐ききると、いつもの凛々しい表情へと戻った。
「お前ひとりですべて抱え込もうとするな。大丈夫、私がいる。なにがあっても私がお前を守る」
そして王子はそう告げると、箱を抱えたまま外へと出ていく。
私とナディは慌てて王子の後を追った。