華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~


王子は庭に出て城の裏へと回り、高くそびえたつ大きな木の下まで来ると、歩みを止めしゃがみ込む。

そして血濡れた手で、土を掻きだし始める。
私とナディもそれを無言で手伝った。

ある程度の深さを掘り終えると、王子は箱から亡骸を取り出し、その穴の中へ静かに横たわらせた。

「少しでもいい場所で眠ってもらいたいからな。この木は庭の中で一番の古さを誇る。この大木がしっかりと守ってくれるだろう」

「王子……」


その後王子は優しく土をかけ、その穴を埋めていった。

すべてが終わり、王子は目を閉じ首を垂れて、祈りを捧げる。
私も埋めた場所に右手をあて、左手は自分の胸にあてて、ゆっくりと目を閉じた。


私のせいで命を落とすことになってしまった、可哀想な子。
どうかせめてこの大きな木の下で、安らかに眠って欲しい。


……そう心の中で願った。
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