華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
伏し目がちにしていた瞳を、ゆっくりと王子の顔へと向ける。
王子は静かに微笑む。
その笑顔は初めて見るものだった。
まるで幸せに満ちたような、そんな微笑みだった。
「やっと呼んでくれた。どれだけこの時を待っていただろう。俺は今とても幸せだ、お前の声で呼ばれたことが嬉しくて仕方ない」
「……そんな大袈裟な」
「俺はお前を幸せにするぞ。今まで苦しかった分、どんな手を使ってでもお前の顔には笑顔しか浮かばなくなるほど、たくさん愛してやる。だからなにも心配いらない。余計なことも考えなくていい。お前の未来は輝かしいものしかない」
王子はそう私に告げると、優しく私を抱きしめた。
ドレス越しに感じる王子の温もりと鼓動。
思った以上にそれは早く、そして熱く感じた。
つられて私の心臓も早鐘を打つ。
でも、不思議と心地良く感じてしまって。
この腕の中から離れたくないと、そう漠然と思ってしまった。