華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~


エリスの顔から笑みが消えていた。
やけに真剣な表情に、ドクリと胸が鳴る。


「なに、を、言っているの?」

「それはご自分でお考え下さいませ。私はたしかに忠告致しましたわ。話はそれだけです、……ではごきげんよう」

そう言うと、表情がころりと戻る。

エリスは扇を広げ口元を隠し、私に軽く会釈するとその場を去った。



話の内容にますます混乱し、私は動けずその場で立ち尽くす。


……どういうことなの?


近くにいる者が味方ではない?

それはもしかして、王子のことを指しているの?


嫌な汗がたらりと垂れた。



――まさか。

この期に及んで、王子が嘘をついているとでも……?


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