華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
「ダメね、私は……」
部屋に入り、椅子に深く腰かけると大きくため息をつく。
なにが正解なのかもわからない。
誰が嘘をついているというの。
王子が私を騙している?
エリスが私をかく乱させようとしている?
それとも……?
ひとりじゃなんにもできない。
答えすら見つからない。
これではいけないと思っていても、いい考えも浮かびやしない。
その間、王子は私のために色々対処してくれて、それが余計に私の心を締めつける。
私さえいなかったら起こることはなかった。
だからこそ、自分でなんとかしようと思っているのに……!
時間はあっという間に過ぎていく。
気がつけば夕食の時間になっていた。
ナディの手によって運ばれる料理。
テーブルに広げられるも、食欲などとうに失せている。
軽くひと口ふた口手をつけた程度で、後は身体が受けつけずほとんどを残してしまう結果となった。