華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
ナディはゆらりと振り向いた。
そのとき、ナディの手にギラリと光るものが握られているのを、私は見逃さなかった。
「アレックス……!!」
ナディは勢いよくこちらへ向かってくる。
私は咄嗟に王子を庇うように、王子とエリスの間に入った。
――その刹那、風を切るような音が耳元で響いた。
星のような煌きが目に映り、途端、霞がかる。
それと当時に、右肩に煮えたぎるような熱湯を浴びたような激痛を感じ、その痛みは全身に広がり、身体から力が抜けていく。
「ソフィア!!」
殿下の怒号にも似た叫び声が聞こえた。
身体から生暖かい液体が流れゆくのを感じる。
それと共に私の身体は地面に引き寄せられるように、崩れ落ちた。
「誰か!誰かいるか!!緊急事態だ!ソフィアが切られた!!」
王子の声を聞きつけたのか、地面を蹴るような低い音が聞こえ、扉を勢いよく開ける音と共に、屈強な騎士たちがなだれ込むように部屋に入って、ナディを押さえつけた。