華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
「離せぇっ!!まだ終わってないいいっ!!」
ナディは叫んでいる。
男たちに押さえつけられてもなお、いつものナディらしからぬ獣のような声で、そう叫んでいた。
けれど、私にはその声がもう遠くで聞こえているように感じていた。
身体も動かない、そして意識がどんどんと薄れていく。
「ソフィア!ソフィア!」
王子は崩れ落ちた私の身体を抱きかかえ、必死に私の名を呼ぶ。
それに応えたいのに、声を出すだけの力すら入らない。
霞む瞳に映るのは、王子の悲痛な表情だった。
薄れゆく意識の中で、私は王子に向けて微笑んだ。
それは初めて王子に対して見せた、笑みだった。