華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
8.真実(アレックス視点)
***
――あの事件から3日たった。
しかし、ソフィアの意識は戻らない。
傷は思ったよりも深くはなかったが、出血量が多く目覚めるまでは安心できないと医者は言う。
俺はずっとソフィアが横たわる寝台の横で、祈るしかなかった。
早く目覚めて欲しい。
固く瞑ったその目を開けて欲しい、そう祈りながらずっとソフィアの隣にいた。
意識は戻らずとも刺された部分が痛むのだろう、たまにソフィアはその顔を歪め、小さな声で唸る。
そのたびに私の心は抉られるように苦しくなった。
なぜ、こんなことになってしまったのだろう。
ソフィアから何者かに嫌がらせを受けていると聞き、早急に犯人捜しに着手していた。
たしかに、この国を狙ったレイモア国の血を受け継ぐ人間とだけあって、城の中で働く者たちはソフィアに対して、あまりいい印象を持ってはいなかったようだ。
それこそ側妃となった当初は、幼稚な嫌がらせをした者もいたようだが、日が経つにつれ、ソフィアがそこまで悪い人間ではないと考え方が変わってきていたようだった。
ゆえに、そこまでの陰湿な嫌がらせはみな、口を揃えて『やっていない』と言う。
では、誰がやったのか。
ソフィアはどうやらエリスを疑っているようだった。
エリスが私のことを実は密かに思いを寄せていて、それで……。
しかし、それはあり得ないことだった。
なぜなら……。