華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
「しかしナディが俺に対して、特別な感情を持っていたことにも驚きだった。そんな素振りをまったく見せてなかったから」
「それは……、実は薄々気づいていたわ。ソフィアがここに来る前から、ナディはあなたを見る目が少し違っていた。あれはまさに恋をしている瞳だった。でも、ソフィアが側妃となってから、少しずつ変わっていったように思う」
「なんだって……?」
「目に見えてハッキリと分かるものじゃない。これは多分女の勘……。どんどんと黒い渦に取り込まれていくような、ナディを見ていてあまり気分がよくなかったわ。だから私はソフィアに忠告したの、"気をつけなさい"、と」
まさかエリスが気づいていたなんて知らなかった。
知らなかったのは俺だけだったということか?
「なぜそれを俺に早く言わなかった!?」
「確証がないからよ。女の勘でと言ったところで、あなたはそれを信じる?ましてやソフィアとナディは表向きとても仲良くやっていたようだし、ナディ自身もソフィアの世話をしっかりやっていたし。……でもこんな結果になるのなら、言ったほうが最善だったのよね」