華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
「無理です……!これ以上はもう」

「ナ、ディ……」

「お慕い申しておりました。初めてこの城に来てからずっと……。叶わないことくらい最初から分かっていた、王子と一緒になることは決してないと。けれど、傍にいられるだけで私は幸せだった、この城で同じ空気を吸えるだけで、私は幸せだったのです」


ナディは涙をボタボタと流しながら語る。
俺はそれを無言で聞いていた。


「けれどソフィア様が来てから、私の心の中は荒れました。国が無くなり、王女であったという肩書だけのお方。この国での身分は私とそう変わらないはずなのに、ソフィア様は王子に見初められ、私がどんなに望んでも叶うことのない場所につくことができる。それが許せなくて、悔しくて」

嗚咽を交えながら、ナディは語る。

それほどまでに苦しんでいたのかと、このとき初めて理解した。


俺はなにも知らなかった。

知らずにナディをソフィアの侍女にしてしまった。
……それがここまでの憎悪を生んでしまったということか。


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