華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
「それでもソフィア様はとてもいいお方でした。そんな醜い思いを抱えながらも、ソフィア様の気丈さや優しさに触れ、一度は思いとどまった。……でも、王子との距離が近づいていくのを間近で見ていて、どうしても我慢ができなくなってしまったのです。すぐに気づくかと思いました。でもソフィア様はエリス様を疑っていたようでした」
「それで、行動がエスカレートしていったのか……」
「願わくば、エリス様とソフィア様同士が憎み合い、それぞれが壊れてしまえばいいと思ったのです。皆不幸になってしまえばいいと思っていました。――でも」
「……でも?」
「この薄暗い牢に連れて来られ、ひとり冷静になったとき、私はなんてことをしてしまったのだろうと目が覚めたのです。ソフィア様はとても良くして下さっていたのに、自分の醜い嫉妬でそれすらも盲目になっていた。いまさら気づいたって遅いのは分かっております。でも、でもどうして私は……!」
ナディは震える手で自身の顔を覆う。
目を見開き、顔色は真っ青に染まっていた。
俺は少しでも落ち着かせようと、その震える手に自分の手を重ねた。
ひやりとした氷のような冷たさが手のひらに伝わる。
ナディは大きく開いた瞳で私を見つめた。
「お止めくださいっ、私の汚い手を触ってはいけません……!」
「そんなことはない。お前が落ち着くまでこうしていよう。ただ私ができるのはここまでだ。それ以上はナディには与えてやれない。心苦しいが、どうしようもないんだ」
「それで、行動がエスカレートしていったのか……」
「願わくば、エリス様とソフィア様同士が憎み合い、それぞれが壊れてしまえばいいと思ったのです。皆不幸になってしまえばいいと思っていました。――でも」
「……でも?」
「この薄暗い牢に連れて来られ、ひとり冷静になったとき、私はなんてことをしてしまったのだろうと目が覚めたのです。ソフィア様はとても良くして下さっていたのに、自分の醜い嫉妬でそれすらも盲目になっていた。いまさら気づいたって遅いのは分かっております。でも、でもどうして私は……!」
ナディは震える手で自身の顔を覆う。
目を見開き、顔色は真っ青に染まっていた。
俺は少しでも落ち着かせようと、その震える手に自分の手を重ねた。
ひやりとした氷のような冷たさが手のひらに伝わる。
ナディは大きく開いた瞳で私を見つめた。
「お止めくださいっ、私の汚い手を触ってはいけません……!」
「そんなことはない。お前が落ち着くまでこうしていよう。ただ私ができるのはここまでだ。それ以上はナディには与えてやれない。心苦しいが、どうしようもないんだ」