華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~

幸福だなんて、今まで縁のなかった言葉。
どれが幸せなのかなんて、分からなかった。


自分は幸せになってはいけないと思っていたから。

笑って生きるなんて、してはいけないと思っていたから。


「それはこれから俺がお前に教える。楽しいことはどんなことか、幸せとはなんなのか、心からソフィアが笑えるように、俺が傍にいて教えてやろう。だから、ソフィアはなにがあっても生きろ。天寿を全うするまで、俺の傍にいてくれ。もう不安をひとりで抱え込もうとするんじゃない。ずっと俺がいる。必ず俺が守るから」


――だから、俺をずっと愛していてくれ。


そう、最後に呟いた。



……ああ、もう。

その言葉が、どれだけ私には、この上ない至極のものだろう。


好きにならないわけがない。
愛さずにはいられない。

こんなにも私を思ってくれるなんて、それこそ幸せ以外のなにものでもないじゃないの。


涙が溢れた。

とめどなく流れ続けて、王子はそれを指で拭う。


「泣くな、ソフィア」

「違うの、嬉しいの。こんなにも胸の中が熱くなることは、今までになかったから」


――今なら、言える。


私の思いを。



「……アレックス」

「ん?」

「好きよ、……愛しているわ。今も、これからもずっと」
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