華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
私は微笑む。
王子の目がまた、見開かれた。
ポロリと一筋の涙を流す。
まさか王子が泣くとは思わず、私は少し声を出して笑った。
「やだ、アレックスったら、泣いてる」
「ふ、不意打ちは卑怯だぞ!クソっ、俺としたことが……!」
王子は服の袖で涙を拭う。
そして気持ちを整えるように大きく息を吸っては吐き出すと、私に満面の笑みを向けた。
「でも俺も嬉しい。お前からその言葉を聞けて、今にも天に昇ってしまいそうだ」
「本当に、大袈裟なんだから、もう」
「なあ、お前に口づけしてもいいか?」
「――え?」
と、反応したときには、既にもう私の唇には王子の唇が重なっていた。
柔らかく、温かい感触が唇に伝わる。
「……やはりあのときとは違うな。温かくて、心が満たされる感じがする」
「あ、あのときって?」
「ごめん、ソフィアの意識が戻らないとき一回だけ。もしかしたら俺の口づけで目覚めるかもしれないと、少しだけ期待して」
まったくこの王子は!!
私の知らないときに勝手に!!
王子の行動の早さに、恥ずかしくて顔を思いっきり赤くしてしまったが、……でも嫌だとは思わなかった。
むしろ心がときめく。
そのまま私の胸は、どんどんと高鳴っていった。