華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~

***



――それから2週間ほどで傷もしっかりと塞がって、痛むことも無くなった。

けれど寝てばかりいた私の体力は驚くぐらいに落ち、最初は少し歩くだけでも疲れてしまうほどだったが、それでも動けることが嬉しかった。

私には新しい侍女がついた。
彼女もまた一生懸命、私を世話してくれる。

でも本当ならば、そこにはナディがいたのよね。

けれど今、この場にナディはいない。

それが私の胸を締めつけた。



ナディがすべて悪いわけじゃない。


そう行動させてしまった私にも原因はある。

私が来たことでナディの人生を狂わせてしまったことが、どうしても悔やまれた。

"もしも"というのは、ナディを思えばいつも考えることだった。



ナディは当初、王族の命を狙った罪として厳罰に処されるはずだったのだが、王子はその罰を減刑して欲しいと、国王に願い出た。


理由は、上記の通り。

私ももちろんのこと、王子もまた同じ気持ちだった。
行った行為は許しがたいことにせよ、その理由は自分たちにあると思っていたためである。


国王は初め難色を示した。

けれど必死の懇願によって、晴れてその願いは聞き入れてもらえることとなり、結果、ナディは国の修道院へと送られることとなった。


しかしそこから一生出ることはできない。

神の迎えが来るまで、ただ神の下で仕える毎日を送ることになるのだった。

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