華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~

ナディが修道院へと送られる前日、私はナディに会いに牢へと向かった。

修道院に行ってしまえば、ほぼ会うことはできないだろう。

最後にどうしてもナディと話をしたかった。

自分の思いを伝え、そしてナディの思いを聞きたかった。


牢の入り口の前にいる騎士に、ナディに会いたいと告げる。

騎士は、やはりなにか仕出かすかもしれないと、神経を張り詰めさせていたが、私は大丈夫だとその騎士を安心させるように伝え、ナディのいる場所まで案内してもらった。


久しぶりに見るナディは、とてもやせ細っていた。
しかしずっと泣きはらしていたのか、顔は少し腫れて浮腫んでいる。


「ナディ、久しぶりね。ずっと泣いていたの?目が赤いわ」

私はナディにいつもと変わらぬ口調で告げた。

ナディは一瞬身体をビクリと跳ねらせ、私を見つめる。
その瞳からまた涙が溢れ出た。

「ソフィア様……!!ああ、どうして!どうしてこんなところに……!!」

「あなたに会いに来たの。どうしてもお話したかったから」

「私は許されない行為をしてしまった。もうソフィア様と会う資格などございません!!」

「でもそれではお互い逃げているだけだわ。こんなときだからこそ、お互い話をするの。もう顔を合わせることができないかもしれない。だから」


騎士に鉄格子の中に入らせて貰えるよう、鍵を開けて欲しいと頼む。
しかしそれはどうしてもできないと断られてしまった。


仕方なく鉄格子越しにしゃがんで、ナディと同じ目線の位置で視線を交わらせる。
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