華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~

「ナディをここまでさせてしまったのは、私がこの国に来てしまったからなのよね。謝っても謝り切れない、……本当にごめんなさい。でも、あなたと一緒にいてとても心救われたわ。なんでもしてくれて、話し相手にもなってくれて、今までそうやって話せる人がいなかったから、すごく嬉しかったの。本当よ?嘘じゃないの。侍女があなたで良かったって、今でも思っているわ」


「こんな私にそんな言葉を掛けてくださるなんて……!私も心の中にある嫉妬の闇に覆われながら、でもソフィア様と共にいた時間はとてもかけがえのないものでした。何回も自分の中で葛藤していました。許せない、でもこんなにいいお方をこれ以上苦しめたくない、そんな思いがずっと交錯していたのです。けれど、自分の心の弱さに勝てなかった。その結果、こんなことに……!」


「過ぎてしまったことは仕方ないわ。でも大丈夫、私はここにいる。もう心配なんてする必要はないのよ。王子と私はあなたを生かすように求めた。それはどうしてか分かる?なんでもいい、あなたに生きていて欲しいから。生きていれば、必ずその先に希望はあるから。私に対して贖罪の気持ちがあるなら、どうか生きて!自然なその日が来るまで、絶対!!」



鉄格子を掴み、叫ぶようにナディに言う。

ナディは驚いたような表情を浮かべていた。

そして、嗚咽を交えながらまた涙を零す。


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