華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
ある程度歩かされた所で、突然止められた。
そして両手に付けていた手錠を外され、覆っていた布を剥される。
……いよいよ最後の瞬間がやってきたのだと、ごくりと息を呑んだ。
きつく瞑っていた目を、ゆっくりと開けようとしたが、外の光に目が眩む。
細目でその目に映る光景を目にして、私の思考が止まった。
……部屋?
私の目に映ったのはやけに広く、豪華な装飾がなされた部屋だった。
大きなソファーに、彫刻が施された鏡台、そして大人が3人ほど軽く寝られそうな寝台が置いてある。
本来ならその目に映る光景は、何人もの罪人の血を吸ったであろう処刑台と、私に対して好奇と怒りの瞳で溢れた民衆の集まり、と想像していたのに。
それなのに。
「どういうこと……?」
戸惑う私をよそに、騎士たちは私から外した手錠と布を持って、その部屋からいなくなり、代わりに侍女らしき女たちがぞろぞろと部屋へと入って来る。
そして無言で私の手を引っ張って、ある場所へ連れていかれた。
「ちょ、ちょっと!!」