華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
湯あみを終え、部屋へと戻される。
待っていたのは、手にコルセットと白いドレスを抱えた女たち。
最低限の食事しかしていないからか、コルセットを締め付けてもさほど苦しくはない。
ただ無理矢理胸元へと肉を寄せる作業は、とても痛かったが。
コルセットを身に付けた後は、ドレスを着せられる。
全体的に小さな宝石が散りばめられた、オフショルダーの白いドレス。
スカート部分はふわりと広がったものではなく、すとんと下に落ちる、比較的大人しめのものだった。
それから椅子に座らされ、顔に化粧を施されていく。
こんなに丁寧に化粧をしたのはいつ振りだろうか、やけに顔が重く感じられて仕方ない。
そして、最後に髪を上で纏め髪飾りを付け、胸元にネックレスを掛けた。
「……は?」
侍女たちは私に全て着飾せ終えると、私を鏡の前に立たせ、ぞろぞろと部屋から出ていった。
残されたのは私ひとり。
この状況においても、私は未だ理解ができずにいた。
しばし、自身の姿を鏡に映しながら、思考を働かせる。
これはどういうことなのかしら。
……もしかして死ぬ前くらいは綺麗にしてから、っていう考え?
にしてもこの真っ白なドレス、どう見てもウェディングドレスじゃないの!
まったく趣味悪い。
こんな綺麗な姿で処刑って、よけい惨めじゃない!